組織改革のフレームワーク、組織の問題解決、TA組織論

『エリック・バーン博士のTA組織理論 (リーダーを育てる心理学)』 安部朋子2013年、西日本出版社

このコーナーでは、

「TA・・・驚くその汎用性!」を訪問してくださった読者の方々に
ブログの中でご紹介する「TA理論」を説明する役割を持ちます。
TAを学んでいる立場からそれぞれの理論をお伝えします。

今回は、【TA組織論】を担当いたします。

 

 

組織改革とTA組織論 実践者:宮島真由美 自己紹介

 

安部先生の書籍「エリック・バーン博士のTA組織論」について、
私の実例を加えながらTA組織論をお伝えします。
安部先生のブログ訪問者の皆さんに、
TA組織論をご紹介することが私の役割です。

先生のブログの中で、「TA組織論」って何?と思われた読者の方々に、
このページがお役に立つように頑張ります。

私は、徳島で社会保険労務士を生業としています。

 

 

組織改革とTA組織論と、私との結びつき

TAを学び始めてから5年あまりが経ちました。
TAの中に「組織」についての学びがあることは、
あべ先生が代表をされているTA教育コンサルタンシーの
講座案内で何となく知っていました。

しかし当時は興味がもてず、
日程も合わなかったので受講せずに終わっていました。

心理学と組織論が関係あるの?と
少し違和感すら感じていたのを覚えています。

 

私は15年ほど前から、社会保険労務士という仕事をしており、
会社と顧問契約をして健康保険証の発行や
失業保険の離職票を作成するなどの手続きや
労働基準法や安全衛生法など法律のアドバイス、
そして労使間の労働トラブルのご相談など
労働者と会社間のかなり広い分野をフィールドとして
カバーし、顧問先をサポートしています。

 

仕事上いろいろな経営者とお会いし、
労働問題(言い換えれば人間関係のトラブルのお話)を
お聞きする機会も多いです。

 

組織改革とTA組織論と、顧問先のリーダー

ある出来事に遭遇しTA組織論に興味を持つことになります。

 

顧問先のひとつである『社会福祉法人』をお伺いした時です。
いつも穏やかなAさんの表情があきらかに違っていました。
とても困惑した表情で、
『年末に各部門のリーダーとして育てていた3人が
一度に退職することになったんです』と
とても残念そうにお話くださいました。

 

50人足らずの法人にとってこれは大事件。
ただでさえ介護人材が不足し、
人の工面に苦労されていることは承知していました。

職員のことを大切に思って、一人ひとりに接していたAさんの悩みは
計り知れないほどの深刻さと精神的な辛さを感じました。

後でご本人から伺ったことですが、
何が悪かったのかと悩み、当時は、
退職も考えておられたそうです。

Aさんは普段から、職員の賃金や退職金、福利厚生を手厚くしたいと
法人の改革に取り組み、職員とも真摯に向きあい、
忌憚ない意見を求める姿勢を持ってらっしゃいました。

私は常々、Aさんはとても素晴らしいリーダーだなあと感じていました。

 

こんなに職員のために心を砕いている人が組織のリーダーなのに、
なぜこのような事が起こるのか、
その原因は何だったのか…。

 

私もこのAさんのサポートさせて頂きたいと思いながらも、
私自身も自分を納得させるような答えが出せず
モヤモヤした気持ちになっていました。

 

そこで、はっと思い出したのが安部先生のTA組織論ワークショップでした。
ホームページを探すと
『組織の問題点や課題を発見、診断するツール、
職場改革の手順を示すツールがTA組織論』と
書かれたフレーズが飛び込んできて、これだ!と思ったのです。

 

組織って人の集まりだよね…。

 

TA心理学が応用できないはずはない…なぜ気が付かなったんだろう。
TAを創案したエリック・バーン博士が提唱しているTA組織論!

これを学べば何か答えが見つかるかもしれない。

 

思い立ったらすぐに行動してしまう私は、
すぐにワークショップに申し込みました。

すると安部先生から著書である
『エリック・バーン博士のTA組織論』という本が教材の1つとして届きました。
この本の副題には『リーダーを育てる心理学』とも書かれており、
更に興味がわきました。

中小企業では社長のご子息が次の後継者となることは
よくあることで、若い社長が先代の社長や社員との間に
葛藤を抱えながら、自分の社長像、会社のリーダーとしての姿を
必死で模索している姿をたくさん見ていたからです。

 

何か解決策があるはずだと、確信めいたものを胸に、
安部先生のワークショップ3日間を受講し、
なるほどそういうことかと腑に落ちると共にとても面白いと思いました。

 

この理論を経営者にお伝えすれば
行き詰った組織の問題解決の糸口がみつかる。
私の中では、何となく…ではなく、
明確な理論や概念に基づいて判断・決断ができると確信が生まれていました。

人と組織が共に成長する。
幸せな社員と幸せな組織になるに違いないと思いました。

 

講座受講後、興味を持っていただけそうなテーマを選び、
Aさんにお伝えさせていただく機会を得ました。

それら理論や概念を使いながら、現場の問題をあぶりだし、
考えてもいなかった新しい視点からの改革を一緒に考えながら、
安心安全な幸せな組織つくりのサポートを進めています。

 

 

組織改革のフレームワークと、TA組織論の特徴

エリック・バーン博士は、私たち個人の問題解決を
TAの基盤である自我状態やエゴグラム、
スクリプトといった概念を図式化したり、言語化することで、
誰もが自分の問題解決することができると教えてくれています。

 

それと同様に、TA組織論を学ぶことで、
組織の状態を図式化・言語化したりすることができると教えてくれます。

 

以下は、TA組織論の大枠をお伝えします。

 

組織の構造、仕組み(ストラクチャー)や
組織の機能、働き(ダイナミックス)を
図式化して観察することができるので、
従業員やスタッフもイメージしやすく、
複雑な組織の問題も理解しやすくなります。

 

問題が明確となり、問題の軽減、回避、解決のための
具体策をたてる時に役立ちます。

 

組織を人と同様に構造と機能の視点から
検証・診断するツールがTA組織理論です。

 

TA組織論には次の特徴があります。

➀幅広いシーンで活用できる。
大きな集団から、社内の部課のような小さな集団、
PTAや地域の集まりのような小さなグループや家庭など、
何らかの目的で集まった人たちの幅広いシーンで
診断や分析をするときに活用できます。

 

➁組織の構造、仕組みを客観的に見ることができる。

その組織がどのような仕組みで成り立っているのか、
図式(ダイヤグラム)で視覚化する。
適切な仕組みが存在するのかどうかを視ることができます。

 

③組織の機能、働きを客観的に見ることができる。

組織がどう機能しているのか、図式(ダイヤグラム)で視覚化する。
うまくいっていない箇所をピンポイントで見ることが可能です。

 

➃問題点の修正・改善、再発防止をすることができる。

自分の組織を客観的に分析し、シンプルに言語化できるので、
簡潔に他人にも説明できるツールである。
組織の問題点の洗い出し、修正、改善、再発防止、
組織の積極的維持、よりよく機能させるための働きかけがより進めやすくなる。

また、図式化・言語化できるので、
今までの「慣習」で伝えるのではなく、
次世代への教育という視点で明瞭に継承することも可能である。

 

以上のようなことから、
新しい規範となるTA組織論を学んだリーダー(経営者)にとっては、
ストレスの軽減ともに、組織の活性化が可能になるので、
リーダーも組織も健康になります。

 

組織改革とTA組織論で組織を見極める3つの視点

エリック・バーン博士は
『組織の成長・成功あるいは崩壊を見極めるには3つの視点がある』
と言っています。

 

➀生産性   … 成果/結果が生み出されているかどうか

➁組織の仕組み… 明瞭に区分されたグループや組織の存在と、必要なところに必要な人材が配属さ れているか

③人間関係  … 人の働き/動きがその場で適切に機能しているか

 

また、知らない人同士の集まりなど不慣れな状況に置かれたとき、
私たちはその場における役割やポジション(位置や立場)、
何を目的としているのかが気になります。

また、そこでの目標やゴール、その中で誰が何をするか
存続できる成果を出しているかも
その集まり(組織やグループ)が成果を出せるか否かの
重要事項となります。

 

 

組織改革、TA組織論をある場面に当てはめてみる

私がウクレレ教室に入会した時のことをあてはめてみた。

ウクレレを弾けるようになりたいと思った私は、
近くのカルチャーセンターのウクレレ教室の体験授業に参加しました。
教室のドアを開けたら会場には10人ほどの人が座っています。
先生はこの人かな?自分はまだ若い方だな。男女半々。
みんなの腕前のレベルはどの程度だろう?
どこに座ればいいのかな?
この人は話しかけやすそうなど無意識にリサーチしていました。

(これは自分のポジションを探っていたことが分かります。)

 

授業が始まり、
先生と生徒との和気あいあいとした雰囲気(3つの視点の中の③)、

今日から入会した人が他にもいること(3つの視点の中の②③)、

先生は1人で実力が違う受講生を指導するが

内容が2部制(基礎練習と中級者練習)になっており

皆が参加しやすい工夫をしていること(3つの視点の中の②)、

隣の人が1年も通ったら弾けるようになると話してくれたこと(3つの視点の中の①③

(組織の信頼性や安全性を感じたので)この教室に通ってみようと

決めたのを覚えています。

小さな組織であっても組織を見極める視点は共通なのです。
ちなみに現在でもこのウクレレ教室に通っています。
成果はそれなりに見えてきています。

 

そしてこのウクレレ教室は、
参加者のウクレレを奏でながらの懇親が目的で、
決して、コンクールで全国制覇を目指している教室ではないことも
私の目的を合うので、今も楽しく通っています。

 

 

組織改革とTA組織論と、これから

TA組織論は、学んだ瞬間から自分自身が関わっている
組織やグループを振り返り、分析、診断、改善策を考えることができるので、
組織つくりや、組織改革を生み出すとてもパワフルなツールです。

 

 

次回は、TA組織論をさらに細かくお伝えします。

組織の構造(グループストラクチャー)と

組織の機能(グループダイナミックス)、それによる

組織診断法をお伝えします。

 

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