忖度(そんたく)と斟酌(しんしゃく),ジャニーズ問題、TA心理学

目次:

・ジャニーズ事務所事件
・忖度と斟酌の違い
・日本の社会文化

・忖度と斟酌をTA視点で見る
・これからどうする?(何が大切か)

・ジャニーズ事務所事件

あってはならないことがあった。
そのことは、直接の関係者が、周囲が誰にも言えないことであった。
長年沈黙していたこと。
そして、これからも言わないことを選択する人もいるであろう。
そのことを20年以上前から噂として知っていた人達が大勢いたこと。
知っていた、気づいていた人達、誰もが口を閉ざしていたこと。
加害者が死亡した今になり、公になったこと。
大変な事件が明るみになった。
当事者のみなさまはもちろん、関係者、周囲の人達、ファンの人達、ニュースを聞いた人達、誰もがツライ経験をしている。
誰一人として、本件に関してハッピーでないことを、私達は十分に記憶をとどめておく必要があると思う。
そんな中、ここでお伝えしたいことは、
誰も、Not-OKではないという現実である。
誰もがその存在(Being)に関しては、OKなのである。
ただ、ただ、行為、行動、考え方(Doing)に関しては、
私達全員が振り返り、今後ハッピーで生きていく上での改善を見つける必要がある
TAでは、【I am OK-You are OK】という考え方がある。
それは、一人ひとりの「存在」に対して、OKという性善説的考えの一つである。
性別や人種に関係なくみんな平等にOKであるという考えである。
(参照:ギスギスした人間関係をまーるくする心理学 P.30、安部朋子、西日本出版社)
存在には優劣がないという意味が含まれている。
それぞれの考えややり方、気持ちの表し方などは、それぞれ固有のものである。
だが、その考えややり方、気持ちの表し方には、厳格な一定のルールがあると私は信じている。
それは、
自分・他者・ものを傷つけてはいけない!

・忖度と斟酌の違い

まず、広辞苑で調べてみる。
忖度(そんたく):
他人の心中をおしはかること。推察。「相手の気持を~する」
斟酌(しんしゃく):
3 相手の事情、心状をよくくみとること。推察すること。忖度(そんたく)。
加えて、
4 ほどよく取り計らうこと。手加減すること。
5 ひかえめにすること。遠慮。ためらい。
このようにみると、
忖度は、私達が日常の人間関係をスムーズにするためには、必須のスキルといえる。
「今、この人は電話中だから、あとでお話をしよう」
「〇〇さんは、お饅頭が好きだから、おやつに買っていこう」
などなど、
周囲の人達、大切な人との関係をスムーズにするための気づかいであって大切なスキルのひとつといえる。
それに対して、
斟酌は、忖度後に4番目と、5番目に表示されているように、ほどよく取り計らうとか、手加減、控えめ、遠慮、ためらいなどの言葉が続き、明らかに外部からの何らかの圧・プレッシャーを感じ取り、文字通りプレッシャーを感じ取った人が目の前の事象に対して手加減や加味する意図が加わっている。

・日本の社会文化

私は、歴史家でもなく、歴史にとても興味があったという学生でもなかったということを前提にして、今回出来事が起こった場のグループ・ダイナミックスを考える中で、日本の「村落共同体」の存在が関係していると考えている。
「長」あるいは、「権力」「パワー」を持った人や、お世話になっている人に対して、「仕える」というスタンスを取ってしまいがちな私達が持ちやすい日本文化背景の存在である。
話は変わるが、
私は留学の経験がある。2年数カ月、ホームステイ先の同年配の子どもと同じように面倒をみてくださった家族に対して、「恩義」「お世話になっている自分ができることは?」という日本人的感覚をもち、学校から帰宅後お掃除したり、キッチンを片付けたり、たまにお料理を作ったり(これは自分が食べたかったためであるが)としていた。
それをアメリカの両親は、「しなくていい」「ハウス・キーパーを雇っているつもりはない」と何度も何度も私に言ってくれていた。
その都度「大丈夫」とか「したいからしている」と応えていた自分自身だったが、時折「本当にしたいのか?」「本当にこれでいいのか?」と自問した時もあった。
そんな中で、自分の中で「should」や「must」「have to」「better to」と「want」の根本的な違いを感じることができるようになった。
それは、忖度や、斟酌という日本人的感覚でアメリカンファミリーと暮らす経験から、日本で学んだ「社会性」に自動的に適応(反応)するのではなく、自分の感覚を信じるという、今の自分のスタイルを育てたように思う。
結果、自分自身もアメリカン・ファミリーもみんなの気持ちがスッキリ、互いの気づかいや遠慮も無く過ごすことができた。
お掃除も、お料理もお洗濯も、やりたいとき、やりたいからする!だから、楽しかった!
夜遅くまで遊んでて、叱られたこともあったが(^^

・忖度と斟酌をTA視点で見る

お世話になっている人や、今からお世話になる人、好きな人、大切な人、上司や得意先様の前では、自然と忖度や、斟酌のスキルが発令し、「仕える」や「期待に応える」気持ちを持ってしまっているということに気づくことが大切だ。
 (*仕える:目上の人の身近にいてその用を足す。かしずく。奉仕する。)
それら忖度や斟酌が
*お世話になっている大事な人や場面・・・操作性
*こんなに気を使っているのから、あなたも私の欲しいものはおわかりよね・・・操作性
こんなメカニズムが背後にあることに気がついてほしい。
これら2つは、TAの中の理論で説明することができる。
基本的にはシンビオシス(共依存関係)というシステムの中にどっぷりとはまっている場合です。
私たちは幼い頃、自分自身で食事のことや身の回りのことなどができないので、両親や周りの大人たちからの関わりが必須です。頼ることしかできないのです。
その関係性で幼い私たちは、「愛着」ということを学び、大きくなるにつれて周囲を大切にするあるいは、周囲から大切にされることを受け入れるということを学ぶのです。これらはとても大切な関係性です。
でも、タイミングとか、やり方の不具合とか、何らかの原因で、幼い私たちが両親や周りの大人たちから必要な関わりが手に入らない時、幼い私たちは「何とか周囲の人たちに気に入られようとした行動」をとります。
これらはある程度は「社会性」として、必要なプロセスでもあります。
周囲の期待を読み取る・周囲の期待に応えるVS.自分の欲求や要望を伝えるといった経験からくる学びは、6歳ごろまでにその人らしさとして定着します。
参考資料:Levin-Landheer, P.(1982). The Cycle of Development, TAJ, 12(2), 129~139)
私達にとってこれら重要な学びの「ええ塩梅」(大阪弁:「いい具合に一致すること。 期待・目的に、いい具合に合うこと。」の意味)は、6歳以降成長していく中で自分自身で学んでいくことが多いですが、日本の社会環境では、「周囲の期待を読み取る・周囲の期待に応える」が優位になることが多く、特にストレスフルな状況下では、その露出度が強烈となります。
その「ええ塩梅」の線引きをしてくれるのが、自分自身が大切にしている価値観や生き方です。
人の顔色を見ながらの遠慮がちに生きる人生なのか・・・I am not OK-You are OK.
自分だけのことを考え、お山の大将で過ごす人生なのか・・・I am OK-You are not OK.
自責と他責の人生なのか・・・I am not OK-You are not OK.
あるいは、
自分自身が選ぶ自分の人生を歩み、周囲と共に共存・ハッピーな人生にするのか・・・I am OK-You are OK.
(参照:ギスギスした人間関係をまーるくする心理学 P.101、安部朋子、西日本出版社)
そして、組織やグループの倫理観やミッションの徹底と実践にあると思う。
ついつい、私達は自分の中にある自分自身も気づいていない価値観やルールが、周囲からの言葉や、大小関係ない圧力に反応し、誤った判断をしてしまいがちです。
誰が反応する?ではなく、
誰もが、反応してしまうのです。ほぼ無意識で!
迷惑がかかるから、
お世話になっているから、
お世話になるから、
きっと誰も信じてくれないから、
きっと誰も自分の言ってることなんか信じてくれないから、
ほか、いっぱいの「言い訳」をもって、
自分自身をミス・リードしてしまいがちです。
本来あるべき自分の感覚や判断を
他人の基準に合わせてしまう私たちなのです。
自分自身が持つ一瞬の「閃き(ひらめき)」を信じる力が重要です。
自分が大事です。
自分自身が安心・安全・楽しく・ハッピーに過ごせるよう
自分自身で『種』を蒔き、育て始める!

・これからどうする?(何が大切?)

忖度も斟酌も、誰かが我慢したり、凹んだり、イライラしてたり、泣いてたら、
それは不用な忖度や斟酌の可能性が高いと考える。
誰あにそ~っと、「どう思う?」って勇気をもって話してみる
「どう思う?」って尋ねられたあなたは、
目の前の困っている人:親、子ども、友人、上司、部下、・・・のお話を聴いて、
自分自身によく問いかけてみてください。
「何ができるんだろう?」
自分で何も考えられなかったら、誰かに相談してみる。
その内容が、喜び事だったら多くの人に話してその喜びを共有できる。
その内容が、万が一困ったことだったら、納得できる解決策が出るまで
ひとりぼっちでなくて、何人かで一緒に考える!
忖度や斟酌、
人を想う気持ち、
どれも人間関係において大切なスキルです。
両刃の剣です。
上手に使えるように、自分自身をちょっと鍛え直すことも必要な時がある。
自分自身を大切にすることから始まります
読んてくださって、ありがとうございました。
タイトルとURLをコピーしました