最近、DXとか、UXとか、いろいろな新しい言葉が目にとまります。
DX: Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略。
「データとデジタル技術を活用し、
ビジネスにおける激しい変化への対応、
業務や企業文化の変革、競争の優位性を持つこと」あるいは、
「既存の価値観や枠組みを根底から覆すような
革新的なイノベーションをもたらすもの」
と説明されて言います。
UX: User Experience(ユーザーエクスペリエンス)の略。
日本語に訳すと「顧客体験」。
同じ「X」を使うのだけれど、
一方はトランスフォーメーションと読み、
他方はエクスペリエンスと読むと使い分けになっている!
今回は、日常目にする用語の中で、ちょっと気になる意味不明的用語、
デジタルトランスフォーメーション:DXについて調べてみました。
DX:(デジタルトランスフォーメーション)の失敗の理由は、トランスフォーメーションのとらえ方の理解が違う
なぜ、気になったかと言うと、
私が専門とする教育分野のTAのなかでの考え方や、
価値観と重なる部分があったからです。
DX とTA 心理学との結びつきを感じ、そこを追求したくなりました。
まずは、トランスフォーメーション(Transformation)という英語は
「変容」はと訳され、「変化」changeとは区別されています。
変容は、「何かが元の状態から別の状態に変わること」を意味します。
それに対して、
変化は、「時間的・空間的な推移によって物事の性質や状態などに違いが現れること」
とあります。
「変容」は「変化」に比べて、
より大きな、あるいは本質的な変化をさしています。
教育分野のTAでは、トレーナーや講師の問いかけや関わり方で、
トレイニーや受講者それぞれ個人特有の視点・解釈を
今までのそれとは異なる視点にシフトするきっかけを提供します。
その人のそれまでの考え方ややり方、感じ方の延長線上にない
まったく異なる反応を生み出すことが多いのです。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の失敗は、Xの解釈にある。
教育の世界に変容というコトバを持ち込んだ教育者としては、
ジャック・メジロー(Jack Mezirow, 1991)が有名です。
メジローは、パースペクティブ・トランスフォーメーション
(視点の変容)というコトバを使い、
「変容とは、視点(視野)そのものが変化するすることなんだ」
という表現をしています。
メジローは、パースペクティブ・トランスフォーメーション
(視点の変容)を、私たちがこの世界をどのように認識し、
理解し、感じているかを一旦手放し、
「どうなんだろう」という視点で批判的に認識(公平な批評)する
プロセスだと説明しています。
つまり、今までの慣例や慣習を引きずった考え方ではなく、
それら慣習や慣例を一旦手放し、
一体自分は何をしたいのか?何を求めているのか?
一体自分は何者なのか?必要なものなのかどうか?を考え始めるという
認識のやり方を、「視点の変容」と命名したようです。
視点を変えると、見えている世界そのものが変わります。
教育現場においては、
あんなに嫌だった勉強が
ある教師のある一言あるいは、教科に関係のないある出来事で
一瞬にして、勉強が好きになることってありますよね。
残念ながら、その反対で嫌いになる影響も存在します。
「えっ?!何故このやり方? この方法?」「これって必要?」
「なくてもいいんじゃない?」なんて閃きがあり、
結構「疑問」や「困難」「問題」があると、
新しい何かに気づくきっかけになることなど
経験したことがある人も多いのではないでしょうか?
もちろん、自分自身のことでも、
ある瞬間に、「なぜ、私こんなに緊張しているのかしら?」って
気づいたり、ふわふわ感を感じている自分に、
「えっ!私、この人のこと好き?」なんて気づいたり、
そして、その一瞬で世界が変わる。
自分の普段の振る舞いや考え方にも影響が生まれるってこともありますよね。
つまり、新しい自分が動き出すということです。
その結果生きる世界も違ってくる。
これって、メジロ―の言う
パースペクティブ・トランスフォーメーションなのです。
「変容」というコトバのイメージは、
さなぎが蝶になるようなプロセスを指します。
芋虫が自分の口から溶液を出し殻を作り
その中に自分自身を閉じ込めます。
そして次のタイミングで、
蛹(さなぎ)の中の幼虫はトロトロに溶けるそうです。
その後全く容態の異なる蝶やカブトムシの姿になって
新しい生物として自然界に飛び出して行きます。
そこには連続した命であるにもかかわらず、
別の生き物のように生きていくことができる
そんな生き方、変化の仕方が「変容」と言われています。
「何かが元の状態から別の状態に変わること」=変容
蝶のさなぎは、蝶になります。カブトムシにはならない。
私たちが生まれた時に持ち合わせた、
本来あるべき姿の自分を思い出し、
それを具現化、実現化するということではないでしょうか?
DX(デジタルトランスフォーメーション)を失敗しないためのKey(鍵)を知る。
Key その1)レジリエンス
自分が何か苦しいこと、辛いことに気づき,
サポートが必要と思われる時そのサポートや改善策を求める。
~困難な状況に対してあきらめずに、希望を持つ~
Key その2)勇気
厳しい状況や困難にも立ち向かえるきっかけをつかむ。
~興味や関心、好奇心と、それを大切にする自己肯定感~
Key その3)フィシス
肯定的な部分を考え、何とかしようとする動き出す力。
~プランニングと、実行力(問題解決能力)~
これら3つは、人生を自律的に生きるということに繋がります。
TAでいう自律は、
気づき:今の状況を認識できること(自分・他者・状況)
自発性:今までと異なる考えや行動、気持ちの選択肢を持つ。
親 密:自分らしく生きる。社会に貢献できている状況。OK-OK。
の3つのステップをいう。
今私達が経験している今までとは異なる環境や状況、
ヨーロッパで起こっている戦争・・・
極端な暑さの到来、
物不足、
健康不安、・・・
どうする?
私達ひとり一人が、
いろいろなところでつながっていることを再認識しながら、
私達はどの方向に向かって歩き始めるのか
今、問いかけられています。
その判断に、何を基準に判断するのか?
とても重要なことです。
この急激な暑さの中で、
冷房をつける?つけないで我慢する?
何度に設定する?
タイマーを使う?などなど
私達がそれを判断するとき、
自分のことだけを考えて判断する。
周囲の人達のことを考えて、何ができるか考える。
自分も我慢するので、目の前の人も同じように我慢して欲しい。
誰かに何かをやって欲しい。指示して欲しい。などなど。
今までと異なる状況下では、
慣例、当たり前、習慣などで「これまで通り」では難しいのが現実です。
自分自身が大切なように
目の前の人達一人ひとりも大切。
目の前にいない遠く離れて暮らしている人たちも大切です。
私達に何ができるのかを考え始める。
単に、クーラーの温度調整の強弱の問題ではなさそうです。
もちろん、それも手始めとしては重要ですが、
今までしなかったこと、考えなかったこともし始めるのが変容です。
メジロ―の言う
パースペクティブ・トランスフォーメーションが必要です。
別の生き物のように生きていく。
今までとは異なるやり方、考え方で生き始める。
そんな生き方、変化の仕方が「変容」ではないでしょうか。
私たちが生まれた時に持ち合わせた、
本来あるべき姿の自分を思い出し、
それを具現化、実現化するということが変容につながる。
ここで思い出すのが、インサイトファインダー。
今まで自分自身が持っていた価値観、優先順位を
今までとは異なる視点から、自分自身に問い詰め
自分の中に存在する本来の価値観、本来の意図や意味を見つけ出す。
「インサイトファインダーとTA心理学」参照
DX(デジタルトランスフォーメーション)失敗しないための変容例
その組織が、別の全く異なるような組織に変容し社会に貢献することができる
そんな企業やお店の生き方、変化の仕方が
デジタルトランスフォーメーションなのかなぁって閃いたのです。
例えば、
老舗のお料理屋さんで、
店主がお客様の目の前で調理し、
出来上がった瞬間に味わっていただきたいお料理。
ここだけしか、この季節の旬の食材を使ったお料理、限られたお客様だけに
召し上がって頂いていたこだわりの「お料理」のお店。
もちろん、予約を取るのは難しいお店。
コロナの影響で、お店の存続が危ぶまれた。
今までのやり方では成り立たない。
それで諦めるのか?
今までのこだわりを守り続けるのか?
考えるときです。
何を大切にしてきたのか?
本当は何を大切にしたいのか? (守りたい価値観は何?)
今の自分、自分の置かれている環境を客観視できるのか?
何に困っているのか?(求める支援は?)
自分の弱みは何なのか? 強みは何なのか?
何ができるのか?
大切にしていた自分の考え方ややり方を一旦手放す。
今までの考え方、やり方を壊してみる。
何ができるかを考える。
新しい自分、新しいやり方、新しい価値をプロデューサーする楽しみ!
この「お料理」は、
最新の冷凍技術をはじめ、
ITデジタルを活用してのマーケティング、販売促進、
調達、梱包、流通の活用で今まで以上にたくさんのお客様に
ご自宅で、特別のお料理を楽しんでいただいています。
頑固なおやっさんは、元気に若手を育てています。
同時に、秘伝のレシピがYouTubeで登録者数を伸ばしている。
DX(デジタルトランスフォーメーション)失敗しないために役立つTA心理学。
TA 心理学は
個人が成長、変化するためのシステマティックな心理療法のひとつです。
グループや組織の成長、変化するためのフレームワークの一つでもあります。
その目的は、
自律的に生きる。
自分らしく生きる。
自律(Autonomy)は、このように定義されています。
TAでは、私達それぞれが持つ自分の戦略(その人独自の考え方、やり方、感情表現)は、
自分が幼い頃に決めた人生の対処策として持っているが、文字通り過去の経験から
作り上げた古い戦略・対処策なのです。
それを最新のものにすることで、今ここでの人間関係や、仕事に適応させることが可能です。
TAではそれを、古い人生の筋書き(人生脚本)から脱却して、
自律性をとり戻すことだと言っています。
ここが、私がDXとTAをむずびつけた大切なところです!
過去の戦略・対処策をまずは手放すことがDXには重要なのです。
自律性は、
気づき、自発性、親密さの能力で構成されており、
大人として、今ここでの問題解決のために個人が持つ資源(リソース)を
全て活用する能力を意味します。
気づきとは、
① 自分の考えていること、していること、感じていることに気づく
② 他者の考えていること、していること、感じていることに気づく
③ 状況の変化に気づく
どれも、とても当たり前のことです。
でも、自分が疲れていることすらわからない時があります・・・で、病気になる。
ましてや、
自分以外の人達の少しの変化や声に気づくことは現実には難しいことも多いです。
何か変化をみてとっても、「大丈夫ですか?」と言いだすのは難しいこともあります。
状況の変化も、どこかで「なんとかなる」って思っているときも多いです。
自発性とは、
今までのパターン化した思考や行動、感情の表し方とは違った
考え方、やり方、気持ちの表し方伝え方をするということです。
私が講座でいうことは、
「自分がある方向(やり方)を選び前に一歩進んだとしたら、その瞬間、
その方向以外に359°の方向に選択肢が残されていると考えてみてください」
いろんな選択肢を私達は持っているはずなのです。
親密さとは、
自分も相手も、本音が言える関係性のことを言います。
目の前の人、もちろん自分自身も含めてHAPPYになるときもあれば、
離れるときもあるかもしれません。
それはそれぞれが納得した結果ということです。
TAでは、OK-OKとも言います。
リスクはありますが、嫌な気持ちを引きずらない関係です。
私達は、戦うために生まれてきたわけではないのですから。
TAの創始者エリック・バーン(Eric Berne)博士は、
自律性をとり戻すといっています。
そしてTAには、
TAの哲学(基本的考え)があります。
・人は誰でも OK である
・人は誰でも考える能力を持つ
・人は自分の人生を決めることができる。そしていつでも変更することもできる。
この哲学がベースにあるがゆえにすべてのTA理論が成り立っています。
1980年代にTransactional Analysisとして、
Dr. Eric Berneが最初に論文を寄稿して以降、
アメリカ、ヨーロッパそしてアジアへと広まり
現在世界で活用されている心理学です。
もともと臨床分野で応用されていたTransactional Analysis ですが、
現在は、臨床以外に、
カウンセリング、教育そして、組織の各分野で使われています。
数々のTA理論は、
自律的な人材を育て、育む用途で活用されています。
TAを応用し、
勇気とフィシスとレジリエンスが育つ現場をつくっていけます。
(前述:DXの失敗しないための3つのKey(鍵)参照)
TA理論や概念は、数多く存在し、
バーンの死後(1910~1970)もTAの理論家たちが、
素晴らしい理論や、概念を発表し、日々発展し続けています。
そして今、
変化の時代。
自分で考え、
自分自身のアイデアを持つことが求められています。
ブログ「風の時代、生きやすい人・・・」
どうなるか分からない未来に対して一歩踏み出す勇気と,
自分のすべてのリソースを使いそれを信じる力、フィシス,
弱ったところから再び立ち上がる回復力レジリエンスは、大切です。
エリックバーン自身、
当初、精神分析学会による拒絶を経験し、
自ら精神分析学会からはなれることを決断ました。
その苦しい経験があったからこそ、
彼が本来目指していた
「人が本来持つ能力を発揮する」を広めるために
この Transaction analysis に
彼の残りの前人生をかけたのだと思われます。
DXにTAが重なって、見えてきた私です。
TAの汎用性って凄いと思いませんか?
TAを学んでみたい方は、
TA101(TA入門コース)
① 二日間コース(基本対面)
TA教育研究所ホームページ http://www.ta-education.jp/
セミナー情報参照
② TA101オンラインサロン(1回3時間、毎月1回の12回コース)
https://www.taedcon.com/ta101
(これは、7月6日Strikingly更新予定)
その他のコースはこちらから、
https://www.taedcon.com/